熊本地方裁判所 昭和61年(わ)166号 判決 1986年7月17日
本店の所在地
熊本県鹿本郡植木町鐙田一〇三七番地
法人の名称
合資会社京極ホール
代表者の住居
同県鹿本郡植木町大字大和七一番地一〇
代表者の氏名
志柿松作
本籍
熊本県牛深市牛深町一六二番地
住居
同県鹿本郡植木町大字大和七一番地一〇
会社役員
志柿松作
昭和一三年一月一日生
右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官江畑宏則出席のうえ審理し、次とおり判決する。
主文
1 被告人合資会社京極ホールを罰金一五〇〇万円に処する。
2 被告人志柿松作を懲役一年に処する。
但し本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人合資会社京極ホールは、熊本県鹿本郡植木町鐙田一〇三七番地に本店を置き、パチンコ場経営を目的とする法人であり、志柿松作は、同会社の代表社員としてその業務全般を統括しているものであるが、右志柿は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上げの一部を除外して仮名預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ、
第一 昭和五六年一〇月一日から同五七年九月三〇日までの事業年度において、同会社の所得金額が五五九二万五二四九円で、これに対する法人税額は二二一八万三三〇〇円であるのにかかわらず、同五七年一一月三〇日、熊本県山鹿市大字山鹿一三五二番地所在の所轄山鹿税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三五六五万〇二四五円で、これに対する法人税額が一三六六万七八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の事業年度における正規の法人税額二二一八万三三〇〇円と右申告税額との差額八五一万五五〇〇円を免れた
第二 昭和五七年一〇月一日から同五八年九月三〇日までの事業年度において同会社の所得金額が一億〇八八八万〇六〇七円で、これに対する法人税額は四四六一万二四〇〇円であるのにかかわらず、同五八年一一月三〇日、前記山鹿税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六〇〇二万九九四四円で、これに対する法人税額が二四〇九万四九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の事業年度における正規の法人税額四四六一万二四〇〇円と右申告税額との差額二〇五一万七五〇〇円を免れた
第三 昭和五八年一〇月一日から同五九年九月三〇日までの事業年度において同会社の所得金額が八八八一万八〇七七円で、これに対する法人税額は三七三一万一二〇〇円であるのにかかわらず、同五九年一一月三〇日、前記山鹿税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五〇六九万九四七五円で、これに対する法人税額が二〇八〇万五六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の事業年度における正規の法人税額三七三一万一二〇〇円と右申告税額との差額一六五〇万五六〇〇円を免れた
ものである。
(証拠の標目)
判示全事実について
一 被告人志柿松作の
(イ) 当公判廷における供述
(ロ) 検察官に対する各供述調書
一 須上弘作成の脱税額計算書及び脱税額計算書説明資料(二部)
一 検察官に対する志柿喜代江、内山三男、内山誠勇、高橋晴勇、竹内常雄、楠本辰美、藤本哲雄の各供述調書
一 大蔵事務官に対する小川克彦、佐藤智施(四通)、御船真也、島田精治、高田浩司、長谷部章雄、久保田建二、阿部良孝、立川福夫、井上達之助、林英俊、納富俊次、山下敏郎、清田隆三、高橋千春、鮫島信孝、米村敏明、大田縫子の各供述調書
一 倉田聡、園田秀樹作成の各証明書(一通宛)
判示冒頭の事実について
一 登記官作成の会社登記簿謄本
(法令の適用)
一 判示所為
被告会社に対しいずれも法人税法一六四条一項、一五九条
被告人志柿に対しいずれも同法一五九条
一 刑種の選択
被告人志柿につき所定刑中懲役刑選択
一 併合罪の処理
いずれも刑法四五条前段、被告人会社につき同法四八条二項、被告人志柿につき同法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に加重)
一 刑の執行猶予
被告人志柿につき刑法二五条一項
(裁判官 荒木勝己)